軍事要塞基地

アメリカで行われた生産性の実験の結果、生産性にもっとも劇的に作用する重要な要素は様々な外部環境や労働条件ではなく、人間関係であるということが示された。適切に機能する人間関係がそこにあることによって、生産性が上がるこの現象を、心理学者はホーソン効果と名付けた。

 そもそも、Youtubeを始めようと思った理由の一番最たる要因は、ホーソン効果を体現するためだった。自分一人で在宅ワークをするというような場合、いくら様々な条件を整えたところで生産性は上がりようがない。そこには人間関係が存在していなければならない。

そしてその人間関係というのは、必ずしも、「良好」である必要はない。

中学生が勉強をサボらないのは、学校に教員がいるからだ。そして教員と学生は必ずしも関係は良好ではない。しかし、家で勉強するより学校で勉強するほうが生産性は期待できる。

工務店もそうだ。大工さんや職人さんが現場で施工をする際、近くで依頼主が観察していて、ときどき質問してきたり、口出ししてきたり、苦情を言ってきたりすれば、煩わしくて居心地は良くないかもしれない。

しかし結果として彼らの注意力は向上し、生産性はあがり、施工の速度・質ともに改善するのである。

これを、「自由に、自分のペースとやり方で、リラックスしながら作業してください」とされれば、良いものは出来上がらない。

もちろん、その人間関係が良好なもので、健全なもので、信頼関係のあるものであるなら、それに越したことはない。その場合は生産性が最大化されるのだろう。

けれどもホーソン事件で必要とされるところの、「人間関係」というものに、複雑な条件は問われない。人間関係があること、それ自体が最も重要である。

当初、1つの誤解をしていた。

Youtubeで仕事の作業配信や動画を公開するとなった場合、

視聴者がいる・いないは問われない問題である、と思っていた。

大事なのは「公開すること」であり、「観られるかもしれない」という緊張感であるのだと。

しかし、それならば「観られてるかもしれない」という不安・緊張感はより強化されるべきである。そのためには、「そのチャンネルの存在を知っている人」の数をより増やさなければならない。

視聴者がいないということが常態化しているならば、そこに人間関係があるとは言えず、「観られてるかもしれない」という不安・緊張感は十分に得られない。

知名度の低いサブアカウントの方のYoutubeで配信や動画を上げていくだけでは、本格的なホーソン効果を得るのは不十分である。そこで、

本気アカウントの方でも、定期的に、高い頻度で、配信や動画を上げていくことが重要である。

サブアカウントでいくらコソコソやっても、だめだ。

あの、例の、本気アカウントで、打って出ないと。

ただ、1つ懸念点がある。

本気アカウントの方は、むしろ不安・緊張感が過剰なほどにあるので、逆に緊張で仕事に手が付かない。

サブアカウントは、「観られているかもしれない」という緊張感がなさすぎ、

本気アカウントは、「観られているかもしれない」という緊張感がありすぎる。

この二つのどちらを選択するか?となった場合、ホーソン実験の原則に則る。

すなわち、「それが良好なものであれ不適切なものであれ、人間関係がある方が、無い方より、生産性が上がる」という法則である。

よって、本気アカウントの方で勝負しなければならない。本気アカウントから逃げてはならない。

それでは、サブアカウントでの活動はどのように位置づけるのか?

サブアカウントを本拠地とし、本気アカウントの方を戦場と位置付ける。

サブアカウントで兵を整え、剣と盾を鋳造し、訓練により練度を高め、軍隊をつくる。

そして本気アカウントを決戦の地として進軍し、戦争するんだ。

定期的に戦争があることが分かっていれば、軍事要塞は活発な活動になるし、

戦争の無い平和な時代には、軍事要塞は汚職・怠慢が蔓延るのである。

戦争のない時代に、どれだけ注意を払い、どれだけ外部条件を整えたところで、戦争そのものが無ければ、その施設は機能しえない。だから、サブアカウントをどれだけ活発にさせるかを考えること自体がズレているのである。

サブアカウントは軍事要塞基地にする。

本アカウントという決戦の地があって初めて、サブアカウントが「機能」する。

人間関係における不安・緊張感なら、本来俺には沢山あるはずである。

他人からの負の感情や対人恐怖症は、ある状況下において「資産」である。

本アカウントは俺の人生の闇の部分と結びついている。

しかしそれらは強力なホーソン効果を生み出す資源にしてしまうことだってできるのだ。呪い転じてまじないと成すのである
本アカウントには様々なアンチもいるが、そのアンチも含めて、そのアカウントに関心のある人全員が大切なお客様だ。なぜならアンチに負けたくないという私の怒りや、アンチに馬鹿にされたくないという不安感もまた大切な推進エネルギーだからである。

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