お正月のマラソンを観ていて、創価大学の異常な成果に驚いていました。順天堂大学を抑えての堂々の1位でしたね。走者はなんと視聴覚障害であるそうで、本人は走りながら感謝の気持ちにあふれていたと語っています。一方で順天堂大学のランナーは走っている間も、とてもとても苦しそうに走っていたことがが興味深かった。

身体能力の差ではなく、感謝の気持ち、これこそが、脳内麻薬を分泌させ、苦痛を和らげるとともに細胞の代謝を活性化させ、肉体のパフォーマンスを上昇させたとみるべきでしょう。

そこで私は更に一歩踏み込んで考えてみました。

なぜ創価大学のランナーの方は感謝の気持ちを持つことができたのか?

私の意見では、創大ランナーの方は「良い意味で自分勝手に」生きてこられたからだと私は思います。

順天堂の方は、走ることだけでなく、人生全般において、他人の期待に応えるため、社会のために多方面で努力して来られていて、走るということは彼にとって、その一環でしかない。だから脳内麻薬が分泌されない。

創大の方は走ること自体が自分に残された数少ない道であって、その進みたい方向を歩むために周りが本人の気持ちを後押ししている。それゆえの、自然な感謝の気持ちなのだと思います。

感謝の気持ち、これがないと大きな結果は残せない。そしてまた、それは自らが汗を流し自分の足で走ることによって、湧き上がってくるものでしょう。けれども考えてみて下さい、彼らは「よーいスタート!」の瞬間、どこにいますか?スタートラインに立っているではありませんか。

スタートラインに立てていることは、本人の努力だけではない。家族を始め大勢の人の献身、言ってしまえば犠牲があり、お膳立てがあり、また悪い言い方をすれば、ランナー自身のエゴも隠れています。

「走ることを通して社会に貢献したい」というのはエゴです。本当に社会に貢献したいのであれば、原子力発電所の除染作業であったり、コロナ下で対応に追われている看護師であったり、低賃金で癌の研究をしている研究者であったり、そうした仕事に当たるべきでしょう?

別に私はランナーを責めているわけではないし、むしろ彼らは当前のことをしていると私は思っております。人間が自然に感謝の気持ちを持つということ、それは、自分の道を利己的に突き進んだ結果です。感謝の気持ちを抱き、人は人を助けることができる。しかしそのためには、逆説的ですが、先ず己自身を救わなければならない。自分を救えるものは他者を救うことができ、他者を救うことができるものは自分をも救えている、もしくは誰かに救われている。

世の中を見渡してみて下さい。

世の中、とても親切な人が多くいます。

彼らは家族、親戚、友人知人、会ったことの無い人たちにまで気を遣い、心をすり減らし、人によっては、借金の連帯保証人にまでなってしまう。

繊細で、感受性豊かで、優しい人たちなのでしょう。

しかしそうした人たちが、成功できるかというと、どうなのか。成功できているように見える人もいますが、そうした人はそもそも、己のエゴを貫き通した後であったりします。

気配り上手で繊細な人々は、最後の最後で、本当の「感謝の気持ち」というのは生まれてこない。

最後の最後で、怒りと憎しみが湧き上がるか、無気力で鬱病になるのです。また、そうした人は真に誰かを救うということもできない。その前に自分が消耗してしまうからです。

周りも同じように繊細であればよいですが、繊細であるのは当の本人だけで、周りの人はそれぞれ自分のことしか頭にないものです。ゲーム理論的にどうなるか分かりますね。

創大のランナーは、わがままに走ることだけを考えて、他のこと(他者の迷惑)は大体無視してきたのだと私にはすぐに分かります。そういう意味で繊細さとは真逆。むしろアスペルガー的。

まず己を救い、そして次に他者を救う。

他者を助けてから己を救おうとするものは鬱病になります。一方で己を救ってハイ終わり、という成り上がりやチンピラやサイコパスもいますが、そうした人は一時的に成功した後で失速して、一発屋で終わる傾向があります。

私は自分があまりに繊細さが過ぎるということを思い知りました。自分自身が、もう少し合理化する必要があると思い始めました。その後で「感謝の気持ち」を持てばよいのではありませんか?

私から私へのメッセージ。

「鈍感で自分勝手な他者に食い物にされないために、法律と基本的な人権意識の範囲内で、己のエゴを楔から解放しましょう。それで生きることがもっと楽になります。」

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

管理人について

話題をチェック!

  1. 2021-6-2

    人生とギャンブルにおける共通性について

    ある本を読んでいて、どうしても納得のいかない言葉を目にしました。 曰く、 「人生はサイ…
  2. 2021-3-11

    快楽が正当化されるとき

    (この記事は編集・追記されました) 安易に欲望を満たしてしまえることは、危険なことだ。 …
  3. 2021-3-11

    行き詰まりを乗り越える方法

    仕事や人生の問題解決や成功のうえで、趣味の存在がいかに大切かということに気づくことがあります。 …
ページ上部へ戻る