どうせダメだよ。
今回も。
いい加減目を覚まして、諦めて楽になれ。
疲れたろう?もう諦めちまえ、友情なんて。
「どうせダメなら、挑戦して失敗したい」って? 分かってないな。
ダメに終わるという結果は同じでも、
挑戦して敗れた結果の失敗は、お前から自尊心を奪うぞ。
残るのは、心の傷と寂寥感、そして疎外感。
結果的に、挑戦する前よりもお前の孤独感はさらに深刻化するんだ。この状況で更に孤独感が強くなるというのは、いよいよ喰うぞ…お前の精神を。
もたないぞ、これ以上。
人間関係なんて、うまくいかないに決まっている。これまでだって駄目だったんだから。別に認知バイアスとか学習性無力感じゃねぇ。単なる理解だ。
こんなクソみたいな状況で、俺に友人なんてできるわけねーんだ。
最初から手を差し出さなければ、傷つくこともないんだ。
俺はもうこれ以上、傷つくのは耐えられない。これ以上、人から拒絶されるのは耐えられない。
もう無理だよ。怖いんだ。どうしても。どうしようもなく。恐怖で、体が震えるんだ。足が竦む。これ以上強い孤独感は、自我を崩壊させかねない。これ以上強い疎外感は俺の命が持たない。
もし失敗したら…?
もし、またしても、人とのつながりを作ることに失敗したら…?
俺は自分自身を、どう肯定すればいい?
俺の存在価値を、どう定義すればいい?
もう、死んでしまいたい。
月を眺めて「奇麗だな」と憧れることはいい。
けどな。
水面に浮かぶ月をすくいとることはできないぞ。
わかるんだよ。そんなことは。
わかってるんだよ。
けどな。どうしようもなく、寂しくて。
どうしようもなく、孤独で。
月に手を伸ばしてしまうくらい
別にいいじゃないか
運命よ お前はそんなことさえも許してはくれないのか
どれだけ孤独というものを美化しても
どれだけ理屈を並べ立てて強がっても
寂しいよ 俺
空腹の人間が 部屋に食べ物の絵を飾る
そんな精神的拷問が他にあるだろうか
孤独なお前は なぜ差し伸べられた手を掴もうとする?
より孤独感に苛まれる結果になるだけであるというのに。
運命からは逃れ得ない。
Fate leads those who accepts itself.
己が運命を否定するものは、そのなかで翻弄されて一生を終えるのだ。
頼む‥‥どうせダメならダメで、せめて早く終わってくれ…
早めに俺を見捨ててくれ‥‥
俺を見捨てるか、否かという判断を、ギリギリまで悩み続けないでくれ‥‥友よ
キミがそのように俺の利用価値に悩んでいる時間、君の価値判断の天秤の皿の上に載せられている時間、僕は気が気じゃないんだ
期待してしまうから 月を掴めるかもしれないと
恐怖してしまうから 切り捨てられるかもしれないと
それならせめて、いっそひと思いに、早めの判断で、俺とのつながりをズバッと切り捨ててくれ…
君たちがそうしないのなら。
いっそのこと、俺が…
むかし、ドラッグストアのアルバイトの面接に行ったときのことだ。
面接官に根掘り葉掘り、洗いざらいに個人情報を聞き出された
ところが、結果は1週間以上後にならないと告げられず、また、不採用の場合には何も連絡がこない、と言われた。
よくある、当たり前の話だ。
だが、俺は、連絡を待つその1週間が、耐えられなかった
最初の3日間はいい。だが、4日、5日と過ぎるうちに、
俺の精神は蝕まれていった。
「もし、このまま連絡が来なかったら…?」
「もし、不採用だったらどうしよう…?」
自分の情報を、洗いざらい曝け出したからこそ、
そのうえで相手に否定されてしまうのは、精神を蝕むものだ。
俺は6日目に、自分からドラッグストアを諦めて、その近くのコンビニの面接に行った。コンビニの面接では、面接当日に即採用だった。
ドラッグストアからの採用通知の可能性がまだ残っていたにも関わらず。
ドラッグストアの方が待遇が良いにも関わらず。
俺は、今すぐの採用・不採用の情報が欲しかった。
ダメならダメで、すぐその場でダメと言ってほしい。
OKならOKで、すぐその場でOKと言ってほしい。
少なくともコンビニエンスストアは、すぐに結果を突き付けてくれた。
その点に於いてコンビニのパワハラ店長は俺にとって幾らか人道的ですらあった。
そのコンビニで採用された翌日、例のドラッグストアから連絡がきた。
「えっと…じゃあ君は採用」
「いえ、実は既にコンビニの仕事が決まりまして」
と俺は断った。
そしたら、その翌日、またドラッグストアから連絡が来た。
「貴方のことを、店長はじめ、社の上層部の者が、大変気に入っておりまして。
他のお勤め先よりも待遇を更に上げますので、当店に来ていただけませんか」
と懇願された。
俺が何と言ったか?
俺は、断った。
何故だと思う?
俺は、ただ許せなかったんだ…人として。
あのドラッグストアの面接官は、まず面接中にわざと席を立って、30分も俺を、物置部屋に閉じ込めたのだ。
後から面接官は遅れて帰ってきて、さもアクシデントを装って謝罪していたが、
俺にはすべてお見通しだった。
あの部屋のパソコンのカメラモードがONになっていた。なぜだろうね?
見ていたんじゃないのか。俺の様子を。忍耐力のある人間かどうか、と言う部分を。開店したばかりの、上層部も視察にきていた僻地のドラッグストア。近所に住所のあるアルバイトを、ゆくゆくは正社員で雇いたい。そのために、まずこのひとを試したい、すぐ辞めるような人でないかをみたい、という意図があったのではないのか。そういうところが俺はどうしても許せなかった。面接の結果もその場で知らせないやり方も、きわめて身勝手だ。勇気を出して面接に向かった人間を、人間と思っていないその傲慢なやり方。
人として、人として許せなかった。
だけど、それだけじゃない。
俺は、傷つくのが、ただ怖かったんだ。
後から不採用と言われるなら、いっそのこと、自分から蹴ってしまえば、
不採用でも傷つくことは無いと‥‥
怖かったんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
この記事へのコメントはありません。